金魚坂Kingyozaka
夏の風物詩として古くから愛されている金魚。ひらひらと水の中を泳ぐ姿はなんとも優雅で涼しげです。そんな金魚の姿を楽しめるスポットが本郷にある「金魚坂」。金魚問屋としての創業は350年前、江戸時代に遡り、現在は7代目となる女性オーナーが問屋に加えてカフェも切り盛りしています。



金魚の種類ごとにたくさんの水槽が設えており、シルバーと朱赤のコントラストが美しいヤトミ丹頂、白色のブリストル、おなじみのらんちゅうなど、40種以上もの金魚を誰でも自由に鑑賞することができます。釣堀も併設しており、金魚や鯉の釣り体験も(大人30分¥700)。こちらでは金魚を傷つけないように先を丸めた釣り針を使用していると言いますが、そんな心遣いも金魚問屋ならではと言えるでしょう。


2000年にスタートしたカフェは「一般の人にもっと金魚に親しんでほしい」という現オーナーの思いを形にしたもの。2つのフロアに分かれた店内では本格的なハンドドリップのコーヒーと中国茶、そして定食やオリジナルカレー、日本料理をいただけます(日本料理のコースは予約制)。「多くの人に愛される、地域のコミュニティでありたい」と、不定期に音楽イベントを開催しています。




壁には金魚をモチーフにした絵画や明治時代の資料が飾られており、まさに金魚づくしのひと時が楽しめます。それぞれに異なる表情やキャラクターがあり、人間にもよく懐くという金魚は現代のペットにも最適なのだとか。古くて新しい金魚の魅力、ぜひ味わいにいらしてください。





2017年6月 文:倉石綾子 写真:山口靖雄