木村硝子店Kimura Glass
1910年、湯島で創業した木村硝子店は、レストランやバーなど、プロフェッショナル向けのガラス製品の輸入・卸しと、オリジナル製品の企画・生産を行う老舗ガラス問屋です。創業時から取り組む自社デザインの製品は全てハンドメイド、日本の工場や職人との協働から生み出されています。


オリジナル製品のデザインは、3代目の木村武史さんを中心に、社内のデザインチームが手がけています。代表作は「極薄グラス」。驚くほどの薄さと軽さ、口当たりの柔らかさが特徴で、誕生から70年以上経った現在でもレストランや老舗料亭で愛されています。


木村さんがコレクションしていたヨーロッパのアンティークグラスにインスピレーションを求めた「木勝」シリーズは、木村さんが最も好きなコレクションの一つ。木村さんと30年もタッグを組んでいるという社内デザイナーが手がけたもので、100種以上のデザイン・バリエーションを誇ります。



そのほか、人気陶芸家のイイホシユミコさん、スウェーデンを代表するガラスデザイナー、インゲヤード・ローマンなど、作家たちとのコラボレーションにも積極的。最近では「みんなのオーソドックスなコップ」という新シリーズをスタート、木村さんが考えるオーソドックスなグラスを、陶芸家やガラス作家が自分なりの表現でアレンジするというユニークな企画で、この店舗のみで展開しています。

「自分たちは好きなものをデザインするだけ。使い手がそれぞれの用途を見出し、好きに使ってくれたらそれが幸せ」と木村さん。どう使おう、何に使おう、使い手の想像力をかきたててくれる美しいグラスで、豊かな食卓を体感してみてください。





2018年2月 文:倉石綾子 写真:山口靖雄