はん亭 根津Hantei Nezu
根津界隈を散策していると、総欅造り・3階建ての古い日本家屋が目に留まります。登録有形文化財に指定されているこちらの建物が、串揚げ専門店のはん亭です。

はん亭は1970年代に上野で創業しました。関東大震災と東京大空襲、2度の惨事に耐えたこの日本家屋に興味を持った店主が、前のオーナーから建物を譲り受け、昭和53年に串揚げ専門店「はん亭」をオープン。その後、隣接する木造二階建てと土蔵を加えて増床、改修を施して現在のスタイルに至ります。


お料理は、串揚げ6本とお通し2品、生野菜を合わせた「一の膳」からスタート。串は全てお任せとなっており、揚げたてを少しずつ持ってきてくれます。特別に細かくしたパン粉を使い、低めの温度で揚げるのがはん亭流。そうすることで軽くさっぱりと仕上がるのだとか。

「一の膳」の後は6本単位で「二の膳」、「三の膳」……と追加が可能。串は毎日30種以上、「六の膳」までを用意しています。「谷中生姜の肉まき」や「えびのしそまき」といった定番の串もありますが、多くは季節変わりとなっており、年間でおよそ100種の串が登場します。お膳には塩、ソース、そして自家製の肉味噌が用意されているので、好みの組み合わせで召し上がれ。


「カウンターにお座りいただき、揚げたてをいろいろ食べていただくのが本来の串揚げ。店の構造上、テーブル席や座敷になっていますが、『揚げたて』と『お任せをいろいろ』という串揚げの醍醐味を大切にしています」と、店長の大浦さん。趣ある建物で下町風情を感じながら、季節の素材の串揚げを味わってみてください。





2017年9月 文:倉石綾子 写真:山口靖雄